飴色蝶 *Ⅱ*

「ユキ、ありがとう
　でも返事は、もう少し
　待ってくれるかな？
　イオリと話し合わなくちゃ
　決められない
　
　私一人だと、この部屋を
　借りるのは、とても無理だわ
　赤ちゃんと二人でなら
　今の部屋がギリギリの生活
　ラインだから」

一人で子供を育てることも
視野に入れて話す菫に

雪乃は告げる。

「スミレ、もし、イオリさんが
　本当に浮気していたとしても
　彼の事を愛しているなら
　別れちゃ駄目だよ、きっと
　後悔するから・・・
　　　
　でも、彼を愛する気持ちより
　も、許せない気持ちの方が
　大きければ、さっさと
　きっぱり、別れちゃいなさい
　　　
　許せない気持ちは一生
　消せない
　一緒に過していても、その事
　が蟠りとなって、ずっと
　心に引っかかって、いづれは
　彼を嫌いになるだけよ
　
　嫌な男と一緒に生活する事程
　面倒で詰まらない事は無いわ
　そんなの時間の無駄よ」

「うん、そうだね」