飴色蝶 *Ⅱ*

菫の手に雪乃は、そっと
自分の手を添えた。

「安心して私は何も言わないよ
 あの話は、スミレから
 イオリさんに話すべきだわ」
  
二人の会話の中に出てきた
『あの話』とは

いったい、何なのか?

庵の心に、引っかかる。

「あの話・・・すみれ
 いったい何の話だ?」

そう問いかける庵を、菫は
見ること無く

ただ、自分の足元だけを
見つめて呟く。

「今は、話したくない」

「イオリさん、スミレは今
 貴方が女性と一緒にいる姿
 を目撃した事で混乱して
 気持ちが不安定になって
 います、今の彼女には
 自分の考えや想いを整理
 するだけの時間が必要です
 
 こんな状態で、このまま話
 を進める訳にはいかない
 
 そうでしょう、スミレ?」

菫は、黙ったまま頷いた。