飴色蝶 *Ⅱ*

愛しているという貴方の言葉は
信じられないくせに。

嘘でもいいから、彼女とは
何も無かったと言ってほしい
と彼に縋り

その言葉を信じると言う。

言っている事が、おかしい事
ぐらい、私は気づいていた。
 
だけど、どうしても
何も無かったと、一言
貴方の口から聞きたかった。

貴方は、何も話してはくれない
 
そんな庵を、私は責めた。

「ひどいよ、イオリ
 貴方が、逢わない方がいいと
 言ったから、どんなに寂しく
 ても、私は我慢してきた
 それなのに、私にはそう言い
 ながら、貴方は、あの女性と
 こうして逢っていたのね
 
 寂しくて凍えそうな夜
 貴方には私の他にも温めて
 くれる人がいる
 私には、誰もいない・・・」
   
「すみれ」