飴色蝶 *Ⅱ*

庵は菫を、今以上、もっと
強く抱きしめて耳元で告げる。

「すみれ
 俺は、お前だけを愛している
 信じてくれ」

庵の言葉に、苛立ちを感じた菫
は彼の胸を強く、何度も叩いた

そして、流れる涙を拭う事無く
庵を見つめて、自分の想いの
全てを吐き出す。

「愛してるなんて言葉
 今言われても信じられないよ
 ついさっき、貴方は女の人の
 肩を抱いて、あのホテルから
 出て来た・・・
 何を信じればいいの?」
  
いつも、電話越しに聞こえる
愛しているの言葉が

今日は、こんなにも薄っぺらで
軽い言葉に聞こえる。

「すみれ・・・」

「愛してるって言葉で
 誤魔化さないで
 ねえ、イオリ、どうして
 違う、間違いだって
 弁解してくれないの?
 ・・・・・・」