飴色蝶 *Ⅱ*

私の体は知っている

この心地よさを。
 
どうして、こんな時でさえ
彼の腕に強く抱きしめれて
嬉しいと感じる私がいるの?

だけど、そう感じたのも束の間

こんなにも、貴方を

愛しているのに

どうして、貴方は

私を裏切るような事を・・・

私の中に、庵に裏切られたと
いう想いが溢れ、影を落とし
私の心は、薄暗く澱んでいく。
  
いつもなら安らげる、彼の
腕の中で私は、胸が苦しくて
堪らなくなる。

この腕に貴方は、彼女を抱いた

抱きしめられている事に
耐えられない菫は、彼から
離れようともがき、抵抗するが
庵は、抱きしめる腕の力を
緩めてはくれない。

「イオリ、苦しいよ」