飴色蝶 *Ⅱ*

やっと、貴方と

見つめ合えたのに。

今の私は、愛しい人を
こんなにも荒んだ瞳で
見つめる事しかできない。

夢であってほしいと願った・・

でも、これは現実。

胸が、張り裂けそうに苦しい。

菫の顔色が、どんどん
青褪めていく。

庵の手が、菫の手に触れようと
したその時、彼女は叫ぶ。 

「やめて
 他の女性(ヒト)を抱いた手
 で私に触らないで」 

庵は、菫が後ろへ隠そうとした
その手に触れ、強く握り締めた

冷たい、庵の手。

「放して」
 
庵は、力ずくで嫌がる菫の
手を引き、自分の方へと
抱き寄せた。