飴色蝶 *Ⅱ*

触らないで・・・

菫にそう言われても、仕方が
無い行動を俺はとってしまった

自分で蒔いた種のせいで
俺は、俺自身を苦しめる。

菫の言葉が、この胸に
突き刺さる。

庵を一度も見る事無く、要に
必死にしがみ付く菫の体を
庵は無理やり自分の方へと
向けさせて、俯く彼女の顔を
覗き込んだ。

そして、やさしく顔に
かかる髪を掻き揚げる。

「すみれ、お願いだ
 顔をみせて」

俯く菫は、ゆっくりと顔を
上げて、腫れた瞳で、庵を
睨み付けた。

久しぶりに見る庵の姿は
少し髪が伸び

相変わらず完璧なまでに
素敵だった。
 
ずっと、逢いたかった人・・・