飴色蝶 *Ⅱ*

雪乃の目に

走る菫の姿が見える。

「・・・・・・カナメさん」

息を切らして、菫は立ち止まる
  
菫の姿に驚いた要の顔色が
気まずい表情に変わる。

「スミレさん、どうして
 あなたがここに・・・」

要は、ホテルの出口と菫を
交互に何度も見つめる。

「イオリは、彼は
 どこにいるの?」

菫は辺りを見渡した後、車の
ガラスを覗いて車内をみたが
庵の姿は無い。
  
建物を見上げた菫は、ここが
ホテルだという事に気がついた

「イオリ、ここに泊まって
 いるのね
 もうすぐ、彼、出てくるの?
 ねえ、カナメさん
 ・・・どうしたの?」

要は、ホテル側が見えないよう
に、菫の前に立ち

彼女の肩を抱いて、ホテルから
菫を離れさせようと誘導する。