「分かっただろう?
 俺は愛していない女を
 優しくこの手に抱ける程
 器用じゃない
 
 それに、お前自身も
 愛の無い行為を
 受け入れられる程強くない
 
 幾ら、それが好きな男との
 行為でも、お前の心は
 耐えられない」

シャツに腕を通す巴。

「あなたは、最初から私が
 嫌がる事を知っていたから
 ここへ来たのね
 
 そうじゃなければ、あなたは
 ここへは来なかった
 
 スミレという名の愛しい人を
 悲しませるような真似
 あなたがする訳が無い」

庵は、真剣な眼差しで
巴に告げる。

「いや、俺はお前を抱くつもり
 でここへ来た、何故なら
 お前には俺の事を諦めて
 もらわなければならない
 お前を危険な目に合わせない
 為にも・・・
 だけど、失敗した」