飴色蝶 *Ⅱ*

菫の部屋のドアが開き、中から
慌てて靴を履きながら、朱莉が
出て来た。

「スミレちゃんの元気な顔を
 見たら、すぐに帰るつもり
 でいたのに、つい時間を
 忘れて長居してしまったわ
 つまらない話にも
 つき合わせてしまって
 本当ごめんなさいね」

「いえっ、そんな
 私こそ、シュリさんのお話が
 楽しくて、時間に、気づく事
 ができなくてごめんなさい
 今日は
 ありがとうございました
 お店、大丈夫ですか?
 確か、この時間は、もう
 営業されてますよね?」

「ええ、でも、大丈夫よ 
 私が今日、私用で遅れる事は
 支配人には伝えてあるから   
 また、ここへも近いうちに
 伺うわね
 
 そうだ、スミレちゃんの体調
 さえ良ければ、今度、天気の
 いい日に気晴らしがてら一緒
 に買い物へ出かけましょう
 ベビー服とかおもちゃとか
 きっと可愛いはずだもの」

「はい、楽しみにしています」