飴色蝶 *Ⅱ*

『貴方に抱かれるなら
 名前なんて忘れられても
 構わないよ
 どんなに傷つけられても
 構わない
 私は、イオリがほしい』
 
巴の言葉を聞き驚いた要は
つい赤信号を見逃してしまい
急ブレーキを踏む。

「危ない」

車は、横断歩道ギリギリで
急停車する。

庵の腕に抱き留められた巴
彼女の瞳から落ちた涙の雫は
庵の腕に染み入る。

「その願いが叶ったなら
 
 わたしは

 あなたを諦められる」

そんなの嘘だよ。

彼女は、諦められる訳

・・・無い。