部屋のモニターに映し出された
のは、朱莉の姿だった。

ドアを開けると彼女の甘い香り
が漂い陰気で暗い部屋の空気が
一度に明るくなった。

「私用でこの近くまで来たから
 スミレちゃん居るかなぁ~と
 思って、お留守じゃなくて
 良かった、寄ってみて正解ね
 そうだ、おいしいケーキを
 買って来たの
 一緒に食べましょう」
 
「はい、ありがとうございます
 散らかってますけど、どうぞ
 今、お茶を淹れますね
 紅茶でいいですか?」

キッチンへ向う菫。

「ええ、ありがとう
 イオリからスミレちゃんの事
 を頼むって言われているのに
 なかなか、ここへ伺うことが
 できなくて、ごめんなさいね
 
 それで、どう
 ここの生活は慣れた?」

「はい、何とか・・・
 ご心配
 ありがとうございます」

鞄を置こうとした朱莉は
テーブルの上、妊娠検査薬
の空箱に気がつく。