顔を見合わせて驚く組員の一人
が慌てて、携帯電話を手にした

独断主義の会澤組長に
これ以上何を言っても無駄な事

話し終えた新は、彼の家を
出て行った。

鳴り響く、携帯電話の着信音

組長の怒鳴り声が外まで洩れる

「トモエが、三代目と一緒に
 消えた
 
 まさか、トモエを・・・
 
 お前ら、今すぐ三代目の女
 を探してここへ連れて来い」

私へと伸びる手

どうか

貴方の手であって欲しい。

扉が開けられ、照明が点いた
ままのトイレ。

ソファーに座る菫は、手に
持っているスティックと箱を

何度も何度も見比べる。

「うそ、本当に本当なの?」

プラスの印に、菫は微笑む。

私の中に芽生えた、小さな命。

菫の部屋の、ドアホーンが鳴る