一瞬でも逃げ腰になった
自分自身を奮い立たせる為に

俺は、かっこいい言葉を並べて
菫に、言い放ってはみたものの

・・・本当の俺は

こんなにも弱い。

庵は、もう片方の腕で菫を包み
ゆっくりと瞳を閉じた。

閉じた瞳・・・

睡魔が誘う。

ここは、夢の中なのか

現実なのか?

俺の腕をそっと誰かが動かした
と思った瞬間、唇に触れる

優しい感触・・・菫の唇。

唇は離れ、耳元で囁く。

「イオリ、愛してる」

庵は、目蓋を開けた。

菫は、庵の上に覆いかぶさり
彼を覗き込む。