屈んで履いたはずのブーツを
脱ぐ、庵。

「イオリ
 帰らなくていいの?」

「ああ、今日だけは
 一緒にいたい
 
 すみれ、今度の抗争が
 終われば、必ず
 お前を迎えに来る
 
 結婚しよう」

「うん」

庵の愛に包まれながら、私は
このまま何事も無く時が
過ぎて行けばいいのに・・・

そう、強く願うのだった。

「すみれ・・・眠ったか」

庵の片腕に、細い両腕を
絡ませて彼女は眠る。

優しく、菫の額にかかる髪を
払ってあげながら、静かな寝息
をたてて眠る菫を見つめ

庵は想う。