「シオン!!」

クレネカが叫ぶ前にシオンはそこから後方へ跳躍していた。シオンのいた場所は無数の銃弾により粉砕された。

薬莢のカランカランという高い音に続き轟音が室内に響きわたる。

そこには周囲の空間に溶け込む何かがいた。

「ステルス…」

シオンは着地すると同時に体勢を整えると天井に向かって銃の引き金を引いた。

研究所の火災報知システムに銃弾が命中。スプリンクラーの雨が降りそそいだ。

人工雨によって不可視の敵が姿を表す。獅子の形をした機械でその背には七十ミリ機関砲が二門装備されていた。

鋼の獅子は驚いた口調でシオンに話しかけた。

「ステルスシステムノ弱点ヲヨクワカッテルナ」

「《第十三式六号強襲機械兵イーシュアル》あなたは私の父が設計したんです。あなたのステルス能力は知ってます」

「デリツァ博士ノ御子息カ…ダガ誰デアロウガココニ入ッタ者ハ抹殺スル」

「それは誰の意志?」

「我ガ王ノ意志ダ!!!」

《イーシュアル》が叫ぶと背の機関砲が一斉に火を噴いた。シオンは近くの通路に飛び込んで銃弾を回避しクレネカは機械の残骸の影に身を潜める。