「ここはどこ…？」

幼い頃の私は誰もいない白い世界の中で呟いた。本当になにもない世界だった。足場と空との境もわからないくらい。辺りをしばらく見渡していると。黒いフードの誰かがいつの間にか私の近くに立っていた。不思議と恐怖感はなかった。するとそれは私に言う。

「あなたが…後継者なの？」

ふと気がついたときには私は滞在中の宿の寝台の上に戻って来た。すごい汗だ。テーブルで顔を洗ってた黒猫のクレネカが私の異変に気付き心配した様子で話しかけてくる。


「シオン、大丈夫か？」


ベットから体起こしながら私は応える。


「あの夢を見た」


「白い世界か…」


「そう」


「お前の体は電脳世界にリンクしてる。その影響が夢にでてるかもしれない。」


クレネカの金色の瞳が私の何かを見透かすように見つめる。


「今日は休んだほうがいい」


私は静かに首を横に振る


「大丈夫。問題ないよ」


窓の外に広がる広大な街を静かに私は見つめる。
昼夜をとわず人は忙しげにどこかに向かいその傍ら機械が都市を動かすためにせわしなく働いてる。人も機械も眠らない街《リレカテ》は祭りのように活気づく。


「彼らの心が反抗を始める前にアノ人を見つけないと」


私はまずシャワーを浴びるために寝台から体を起こした。