もう1人の彼氏

しばらくは親友が、しょっちゅう開いてくれる飲み会で、気を紛らわしてた。


親友は、私が汚れていく姿を見たくなかったにちがいない。



夏休み真っ只中、タカから電話がかかってきた…


「も…もしもし…?」
出たくない気持ちと、出たい気持ちに葛藤しながら電話に出た。


「絵里香ぁ?久しぶりぃ。元気かぁ?」


「元気じゃないけど…なに?どうしたの?」


「彼氏作ってないだろーなー?」


「はぁ?私が彼氏作ろうと関係ないじゃん!」


「はっ!?なんじゃ、それ。
彼氏できたのか!?
なぁ、彼氏できたのか?」

強がってでも、できたって言っちゃえば良かったのに…


「いないよ。」

正直に答えてしまった……

「そっか、良かった。
絵里香は俺だけのものだ。」


《なによ、彼女いるくせに!》
そのセリフが言えたら、どれだけ楽だっただろう…