…とにかくっ!
今は先のことを考えなきゃ。
…ン…クン…
……ドクン………ドクン……
心…臓?
いきなり頭の中に駆け巡ってきたのは何−…?
自分の思い出じゃない。
知らない風景や人物が、頭の中で駆け巡り、同時にうなり声が響く。
…ズキズキする…。
皆は平然。
あたしだけ。
何だろう…。
段々画像に音声が入ってくる…。
“男か!よし。お前はベルアーノだ。立派で優しい奴に育てよ!”
ベルアーノって…。
東大陸の名前はベルアーノ…。そしてこの国の初代王…。
そうか。
この思い出はベルアーノ王の記録…。
暖かい……なのに凍り付いた思い出…。
思い出したくないの?
閉じ込めておきたいの?
それとも…助けを求めてる?
凍っている思い出を溶かしてはいけないのかもしれない…。
でも心の隅で、溶かした方がいいんじゃないかと、訴える自分がいる。
辛いのは、見たくない。
