街で君の唄を聞いた



+冷灯Side



ヴィーノ…。

背中に何か抱えているんだろうか。
あたしがこの世界に来て初めて遭った時と同じ格好なんだけど、どっか違うんだよ。

バックも無ければリュックも無い。


荷物を持っていないのに、何故だか背中が重く見えてしまう。

や、霊とかさ、憑いてるとかそういうのは分かんないんだけどさ。



別にそういう訳ではなくて。



確かに騎士長だからさ、重い荷を背負わされてるっていうのは分かるけど、分かるんだけど…。




…いやいやいや…。
今は出来る限りの事はやらんきゃマズいだろ。
ジュマルドはこの国、というか、東大陸の皇子なんだから、死守しなければ…。


いやぁ、まだ死にたくないけどさ。




「…レイヒ様?」

「ごごごごめんなさい。別に疚しい事なんて考えてもいません。命だけは御勘弁をぉお」

「クス。私はレイヒ様に少しでも魔導をお教えしようと思っただけですわ」

「誠にすいません。教えて頂きたいです」

「いいですわ。ではまずー…」










みっちり一時間指導してもらった訳ですが。



「少し休みましょうか」

「そうして…もらえ…ると……ありがた…いです」



思いの外疲れる。

しかもレイはケロッとしてるし…。
慣れてる、っていうこともあるだろうけどさ。



半端ねぇ。


目が怖かった。