街で君の唄を聞いた


羽ペンで羊皮紙によく書き写したり、軽い魔法は実際に魔法陣とか詠唱とか試してみたりしたからな。

多少の被害はでたが。




今だと懐かしく感じる。
そこまで昔の事ではないはずなのに。






だが、記憶同士が噛み合わない出来事がいくつかある。


無理矢理繋げさせたような、そんな感じ。

本当に俺がやったのかと疑う。
しかし、皆が言うから間違いないのだと思っている。



ただ、そう思い込ませているだけ。




「…後に兵が来る。出来る限り兵に力を与えてやってくれ。俺はやることがあるから、今日は恐らく来ないだろう」

「分かった。絶対死ぬなよ」

「どこのどいつが死ぬんだよ。自分のことを心配しろよ」

「ははは。そーだな。それじゃ、明日また会おうじゃないか」

「あぁ。フィレシア、レイ、レイヒ、しっかり守れよ。じゃあな」





そして俺はドアを静かに閉めた。

これは無意識ではない。

何かの終わりを告げるかのように、わざとしたことである。




パタン