街で君の唄を聞いた


「…おい、何事だ」

「…あ、ヴィーノ」



ヴィーノが来たお陰で騒ぎは無くなった。けど。


「痺れっ、痺れた…」

「武器を持たずに武器を持っている奴に喧嘩を売るな馬鹿たれ。良いことに相手が雑魚でお前が何かをやっていたからまだよかったものの、雑魚じゃなかったら確実に死んでたぞ」

「はんせ…してま…す」



騒ぎが収まってそうそう正座をさせられ、説教をたっぷり聞かされた。

あああ!よかったとこだったのに!
なぁんで変なとこで説教!?



「兎に角、あっちにコルク達がいっから、付いて来い…ってなるとお前また迷子になるからな…どこでもいいから掴んどけ」

「…へい」


服を買いに来ただけなのに。
どうしてこういうこと起きるかな。
神様の小さな悪戯ですか。
うん きっと悪戯に違いない。
誰か此処に神様連れて来てくれ。
ちょい一発いこうか。


「…早くしろよ…。またお前は人混みの渦に巻き込まれてぇのか」

「すんまそん」



と、言われましても、どこ掴もう。
手は無理。断じて無理。
別に彼氏彼女とかいう関係じゃないのに手は無理。
しかもコルク達に見つかったら、完璧に誤解されるに違いない。
やだやだ。無理無理。


「うへぃ!?」

「…何今の。遅い。時間が無駄になるだろ」

「じゃかましぃわ。手を離せ」

「お前がさっさとつかまんねぇからだろ。ホラ行くぞ」

「…ッチ」

「…そうか。お前はまた迷子になって、誰にも見つけられないまま死ぬのか。それとも、強盗(ロジム)に連れ去られてその頭の女にされるか、殺「ごめん。全力で謝る。すいません」



つーかロジムって何。
ていうか手首、手首掴まれてる。引っ張られてる。
しかも年上男性に。
俗にいうイケメンに。

綺麗な顔立ちしてんのになー…。
かなり損してるような気がしてならないんですけど。
性格直した方がいいなんて言ったら、斬られる、と思う。

“ンフッ♪顔が綺麗で女にモテるなんて、罪な男ねぇ〜。今夜、あたしと遊ばな〜い?”

とか、街中のナイスバディのお姉様に声かけられたこと、一度はあるんじゃないか?

って何を考えてんだ。
何この想像というか妄想。