城の中にこっそりと移動して来た俺達。
良かった。まだ城の中には、住民は来ていないようだな。
…にしてはヤケに静かだな。
もっと慌ただしいと思ってたんだけど。
「王室はこっちよ」
「…冷静ですね」
「そうかしら?貴方程冷静じゃないわよ」
そう、かな。
焦る時こそ、物事を客観的に見る奴だーって、昔言われてたっけなぁ。
客観的に見るからこそ、何かあるんじゃないかと、俺は思う。
―――ッ!?
今、一瞬見えた白い物体…。
……リバルツ!?
西大陸の研究所以来だけど…何故奴がこの場所に居た…?
北大陸の王と何か関連しているのか…?
だとすれば、王をおかしくしたのはリバルツか。
クレイアさんに付いていってはいるが、リバルツとは違う方向だ。
なんだ…?
奴は何がしたい…?
みんなは付いて行くことだけに集中しているのか、リバルツにはきづいていない様だ。
今は王を元に戻すことが第一優先事項だ。
リバルツのことは、今だけ端に寄せておこう。
『ソノ内私は、居ナくナる…』
…ッこれは…!クルトの反聖歌(ネモストラル)!
クルトまで居るとは、どういうこだ!?
リバルツとクルトは繋がって…?
反聖歌に冷灯は気付いたのか、こっちを振り返った。
その目は、心の内を読め、と言ってるのか。
“反聖歌、聞こえた”
と、言いたいのか。
みんなの時間を取るわけにもいかず、小さく頷いた。
やっぱり、という顔をして、また顔を前に向け直した。
冷灯も聞こえたってんなら、幻聴じゃないか…。
まずいな、気になることが沢山ある。
今すぐにでも確かめたい。
