ガヤガヤ…
さっき行った時よりも、人が増えてる様な気がする。
いや、確実にかなり増えた。
もう誰が何を喋っているかなんて、分かりもしない状況だ。
そういうわけで。
「…迷った」
うおぉおぉぉおお!
あたしはもう獣の雄叫びをするしか手段がないのか!?
いや、ね!?迷子になるとは思っていたけれどね!?流石にこれは探し様がない!!
…探し出すということになっても、更に迷うだけか…。
残念無念また来週~…ってか…。
「キャッ!!かっ、返しっ、返して!!」
ザワザワとなっていた人混みは、更に煩さを増し、声をあげた女の人に視線が注がれた。
こんな人混みの中じゃぁーねー…。
ありゃ、何か怪しい人見っけた。
男なのに女物をこっそり持っている方がこちらにいらっしゃいます。
あは。徐々に近づいてくるし。
うん。することないし、止めようか。
「ねぇ、そこの帽子被ったあんちゃん。ちょいあたしに面貸そうか?」
「何だ?逆ナンか?」
「ちがーいまーす。自惚れるとか痛いぞ?さっき、あの人の物取っただろ?返せ」
「知らねぇーな。嬢ちゃん、何か勘違いしてねーか?」
うぜぇなコイツ。
さっさと片付けっか。
「人が困る事すんなんて、もう人じゃねーな。さっさと返さねぇとブチのめすぞカス」
「んだと?やれるモンならやってみな。俺が短剣使いだってこと、後悔すんじゃねぇぞ」
「後悔しねぇから言ってんだろ。手前が負けたら返してもらうからな」
「できるモンならやって………あ」
相手はあたしがかけた地雷を踏みました。
