ヴィーノの部屋に行った事なんて、直ぐに忘れた。
だって眠かった。
超絶眠かった。
そんなこんなで夢を見ている訳だが。
(…人の声がする)
白い空間をゆっくり歩き出す。
浮かんでいるようで、見えない床があるらしいが…、壁と見分けがつかない。
ぼんやり何かが見えてきた。
音も段々と聞こえてきた。
ぼんやりと見えたソレに近付くと、どこから吹いてきたのか、いきなり強い風が身を包んだ。
腕を前にやって、強く目を閉じる。
開けていられないぐらい強い。
風が収まったから目を開けた。
(あ、れ?)
炎が街を包んでいる風景が、広がっていた。
白い空間なんて、もう何処にも無かった。
視界はハッキリしているが、音は少しぼやけて聞こえる。
聞き取りづらい。
ついでに言えば、あたし自身発光していたりする。
物には触れる。だけど温度は判らない。
――――透き通らない、幽霊とでも言おうか。
叫び声が飛び交う。
小さな男女が手を繋いで泣いている。
きっと兄妹だ。
親はどうしたんだろうか。
もしかしてこの炎の中、目の前に居る兄妹を残して死んでしまったのだろうか。
『…お母さーん…
…どこー?…』
どうやら母親ははぐれた子供を知らないようだ。
運良く助かった、って所か。
『…お姉ちゃん…!お母さんは何処か、知ってる…?』
あたしの方を向いて喋り出した男の子。
見えてるのか?
(…まさか)
そんな筈はない。
これは夢なんだから、見えない筈だ。
…だけど、男の子はあたしにしがみついて、何度も訴えてくるのだ。
信じがたい光景だ。
仕様がなくあたしはしゃがんで、男の子の頭をポンポンと手で叩く。
男の子はわあわあと声を上げて泣き叫ぶ。
同時に女の子も泣き出して。
思わず抱き締めた。
