街で君の唄を聞いた


「…っしょ おい、登れるか?」

「多分…」

「無理すんな。怪我でもされたら困る。ホラ掴め」

「あ、ありがと」


しっかりとヴィーノの手を掴んで、山の頂上へ。




ほへー…。


漫画とかによくある光景…言えば絶景。
今その主人公の気持ちがわかった(気がする)。


「ねぇ」

「あ?」

「何であたしに山登りまでさせてさ、こんな凄い場所連れて来たの?」

「別にお前の為じゃねーし」




…ツンデレ?
これ日本だったら萌えポイント大幅にゲットできんじゃね?
だって若干ヴィーノ赤い。
頬を人差し指で掻いてる。

普通の女の子でも萌…じゃなくて、可愛いとかでも思うんだろーね。

“キャーッ!!ヴィーノさんかっわいー!!”

とかさ。

あたしがそんな事やってたら吐く。
普通に吐く。
街中で誰かの顔面にぶっかけてっかも。
…それは汚いか。


「…ここはさ」

「え?」

「遠くの方まで見える気がすンだよ。道が続いてる。木だってある。街や村だってある。世界はさ、広がってンだよ。絶対」

「ヴィー…ノ」

「…全てに燃え広がらないようにしなければならない。そう容易い事ではない…。でも俺はアイツを」

「…ヴィーノ?」

「悪ぃ 何でお前にこんな事話てンだろーな。こんな 重い話」


君の瞳は遠い目をしてた。
瞳が揺らいで、今にも泣くのではないかと思った。
風でなびくその髪は 儚げに揺れていた。

隣にいる君が小さく見えた。


「戻るか」

「あ…うん。……あのゴツいの降りるの?」

「いや、今度こそは移動用魔法陣を書いた。これで帰る」

「今度こそはって…ヴィーノ 前に来た時書き忘れたの?」

「ああ」

「アホンダレ」

「何だそれ」



君に会えたことを 私は嬉しく思う。
笑顔でいる君を見ていたい。
あまりにも小さ<て、消えてしまいそうで怖かった。
掴んだら消えてしまいそうだった。

君 ハ 一体 何 ヲ 抱エテ イルノ?