街で君の唄を聞いた




―――「…噂話、ねぇ…。それをお前等は信じたんだな?」

「そうっスけど…。ヴィーノさん、何か問題でもあるんスか?」

「ま、一応そういうのは信じとかないと、何かあってから遅いし。特に今は噂話でも信じるべきだな」



船の中。

さっきの出来事というか話を一応盗み聞きとなる噂話を話した。
詳しくはあっちも知らないらしいし、聞かせてと言ってもどうせ“俺達もよく知らねぇ”の一言で片付けられる。

言えば最初からあんま期待してない。
所詮噂話…言えど、やっぱ不安。

ホントに襲撃されるかもしれないし、ラグアスが言った通り、何かあってからじゃ遅い。
いつ戦闘もいいようにしておかなきゃ、ヤバい。



「ちょっと様子見♪」

「は!?ラグアス、もしもホントにいて攻撃されたらどうすんだよ!?」

「俺の力をお忘れで?じゃね〜」

「おまっ…!」



ひょいひょーいと軽々と船内の館から出て行った。

確かにね?いや確かにラグアスの力は覚えてますけど!



「何かあってからは遅いって言ったのお前じゃん…」



という事で心配だったから追いかけた。





ヒュー……


風のような鳴き声の鳥。

もはや鳥とは呼ばない。(見た目は鳥なんだけど)

やっぱ海だからカモメ扱い?

阿呆か。今はそんな事言ってる場合じゃねーし。



「ラ―――…」



“ラグアス”。

そう呼ぼうと思って言い出したけど、言葉を呑み込んだ。


…絵になりすぎだ馬鹿ぁぁぁあ!!


横顔!海!風!何か何時もと違う表情!

合いすぎる…じゃなくて!



「ラグアス!おま「九の刻、724メートル先、敵船」



敵…船?
え?724メートル先?

どんだけ先見えてんの!?



「冷灯、皆に伝えて。敵来襲って。それと船員にも伝えて。一刻も早く」

「あ、うん」



これほど真剣なラグアスを、見たことがあっただろうか。

研究所の事でも、おちゃらけてる様な雰囲気だったし…。


…不思議の塊、だな…。