呆然とするあたしと、冷たい視線を送るラグアスを余所に、淡々と二人で会話をしている二人。
白い人の顔は変わらず…だけど、冷ややかな目で床に横たわっている彼を見ている。
「って…」
「馬鹿じゃないの?一対二だったら、貴男の力じゃ適いっこないのよ。前と後ろをとられたらお終い。だから二人で行きなさいと言ったのに…」
「あの野郎が居たところで、なんら変わりは無い。寧ろ足手纏いだ」
「兎に角、もう下がって。今日は休んでいて頂戴」
「………はい」
シュッと音をたてて消えた。
白い人は残ったまま。
…あれ、消えた…?
瞬きをしても、白い人は見当たらない。
「隙が有りすぎて、話にもならない」
「ッ!」
コッと顎らへんで、音がした。
短剣の柄が、当たっている。
ニコリと微笑む彼女。
悪を帯びた、笑み。
一見おっとりしている様に見えるが、俊敏且つ戦闘的。
「さっきはうちのロッカムが世話になったわね。でもあの子はもう不要物。ずっと悪なまま、処理されるわ。まあ貴女には関係は無いのだけど」
「…殺すのか?」
ラグアスが口を開いた。
しかもその第一声が、その言葉なんて。
「制裁よ。罪有る者は、征伐すべし。これは私達のしきたりに過ぎない言葉」
「敵が減るのは有り難いが―――色々、間違ってるぞ」
ピシャリと、言った。
彼には、何か考えがあるのだろうか。
大丈夫、といわんばかりの顔をしている。
「その制裁は、間違っている。寧ろ制裁なんかじゃない。ただ殺してるだけだ。お前は人が死ぬということを解っていない」
「…私が馬鹿だといいたいのかしら?」
「馬鹿以上、だな」
ほんの一瞬。ほんの一瞬だったけど、ラグアスが哀しい顔をした。
彼を見ていたあたしだから、解ることだ。
