街で君の唄を聞いた


王宮と研究所が離れていてよかった。
それは本当に思う。



「だ・か・ら、出せっつってんの」

「何をだよ…!?」

「あんたら自身、気付いてんだろ?早くこの場に持って来いよ」

「あの方は物ではない…!」

「はぁ?人はただの入れ物にすぎないじゃん。欲しいのは人じゃなくて、力(ピース)だよ」

「貴様…!」



誰かと研究員が言い争ってる。
両者とも、気迫がヤバい。


少しだけ、研究員が怖じ気付いてるけど。


ありきたりの奴さんのお出まし、というところだろうか。
竜か何かに乗ってきて、もしくは浮いてきたりして。

何かを差し出せ差し出せ五月蝿いんだ。

それが、居る。



「自ら…来たのか。それも二人」

「研究員達は避難しろ。運悪きゃ巻き添え食らって死んじまうぞ」

「ほら、逃げないと」

「緩いなぁ…人の心配するなんて。虫酸が走るほか無いよ。さ、僕のとこへ行こう?」

「――断る」



手を差し伸べる相手を無視して、言い放つ。
すると相手は眉を八の時にして、残念そうな顔をする。

敵になんか情は抱かない。

すると、ヤレヤレと言わんばかりの動作をした後、トッ、と目の前に降りる。
彼はずっと浮いていたのだ。



「…残念だな。君が此方へこないだなんて」

「あたしは正統派だからな」

「つか、悪はお気に召しません♪」

「空と時…惜しい人材だ」

「…力が解ったとこで、何が出来る?」

「欲しいのは君ら人間じゃない。力が欲しいんだ。入れ物は要らない」



ところで、ピースってなんだ。


大事な場所でそんな質問はタブーか。
や、だってわからんし。
これ真面目!