街で君の唄を聞いた




神だなんて、本当なのだろうか――。

確かめる術は無いし、そもそも何時自分の前に現れるのか判らない。
ふらっときて、ふらっと消える。

風みたいな神だな。
お気楽すがて羨ましい。
いつもあの神は楽観視している気がする。

だけど、秘密主義者。

厄介な奴だな。



「こんなとこに居たのか」

「ぅおっ、カヅム」

「……化けて出たかの様に言うな」

「悪ぃ、カヅムがあたしに用があるって、珍しいなと思いまして。だって普段から喋んないし」

「それもそうだが…」



そしてどうやって、ここを見つけた。
いきなりすぎて寿命若干減った。



「どうやって此処知った?」

「え?あの何かうばうば言ってた人に、“いい場所教えろやゴルァ”って脅したら、真っ青な顔して教えてくれた」

「…嘘だろ」

「脅してはないよ」



クスクスと二人で笑う。

あぁ、この時間は幸せだ。
だって世界滅亡なんて事なんてすっかり忘れて、こうして笑っていられる。
人と居られる以上の喜びはない。

どうして幸せは、何時までも続かないのだろうと、何度思ったことか。

幸せと思えば不幸。

不幸と思えば幸せ。


複雑。
なんて、複雑なんだろう。



「…実は俺、ここ出身」

「マジかよ」

「母親が父親との旅行中に身ごもって、此処で俺は産まれた。3歳ぐらいで東大陸に戻ったがな。それからは仕事以外では他の大陸には行っていない。ここには15年振り、かな」

「すげぇな…。親御さんは元気なんか?」

「…もう亡くなったよ」

「え、あ…ごめん」

「嘘」

「嘘かよ!」

「嘘返し。…両親はバリバリ元気。両働きだから、普段は家に誰もいない。ただ、久々に家に帰ると、暖まる。いろんな意味で」



彼は微笑んだ。

その横顔が、如何に両親が大切かを語る。


…父さん、母さん。

もう会えない。

兄貴達にも、何時会えるか判んない。


何時、帰れるか判らないけど―――




けど、今は今で幸せだ。

何時か不幸な時が訪れるにしても、今は幸せ。


見守ってくれ。



頑張っから。