街で君の唄を聞いた




+レザSide




またアイツは何時もの場所に行った。

深く愛したあの人を、亡くしてしまった痛みなんで、易々忘れられるわけがないんや。


簡単に忘れたら、愛した人ちゃうやろ?



「…ったく、全部があの人色に染まってら」



馬鹿馬鹿しいなんて思わない。
寧ろ羨ましい限りや。



………えぇなぁ、愛した人が居るって。




俺には分からない。


人が好きやとか、愛してるだとか。



「ピルルルル…」

「…ヴィラ」





“―…代償は、お前の…―”





ヴィラと契約を交わした後、代償が、正しく羨ましいと思ったもの…。

だから俺は分からない。





異性を愛する事なんて―――。



鏡に映った自分に問いかけるのと同じだ。





“オ前ハ誰ヲ愛シテイル”





…そんなん、知らねぇよ…。



誰が誰を好きだろうと、関係ない。

俺は尊敬や憧れでしか人を見ない。


だから俺はこの場に居てはならない。
この場から去らなければならない。



自分探しの旅、までとは行かないが、傷心旅行な気分で、探しに行く。






居場所を探すべく、旅…。