咳込んで

目が覚めた。



嫌な咳。



絶望の色が、
ジワリと視界を染める。


薬を探して枕元に手を伸ばして

バックの中に入れっぱなしなのを思い出した。



ソファまでの距離が
こんなに長いとは。


私は這うようにソファにたどり着くと、

鞄をひっくり返した。


薬を吸入して、
目を閉じる。


焦っちゃダメだ。


大丈夫。


死んだりはしないから。


大丈夫。


こうやって、
一人でどうにか出来るようになってどれくらいになるだろう。


久し振りの発作。


寒い所で、寝たりしたからだ。


肺が痛い。


涙で滲んだ視界が、

灰色に歪んだ。