「お前ね、この寒いのに一晩こんなとこにいたわけ?」 口調がいつもと違って、 私は戸惑っていた。 取り敢えず頷くと、マスターの手が差し出される。 細くて、 白くて、 なのに大きい手。 私は、恐る恐るその手を取る。 触れた手が熱くて、 自分が怖いくらいに冷え切ってるのがわかった。 その冷たさがマスターにも伝わったらしく、 引き起こされて、 引きずるように店の中に入れられた。