暗く、静かな街。


街灯の明かりを頼りに、
ゆっくりと歩いた。


始発まではまだまだ時間がある。


住宅街の真ん中にある駅だから、
こんな夜中に人の気配はしない。


駅前広場の噴水の縁に座り込む。


携帯を取り出すと、
あの男からのメールの着信を告げていた。


一瞬躊躇って、いちよう読んでみる事にする。

『新居を決めよう。明日の朝、電話するよ。』


私は、それを確認して

噴水の中に

携帯を落とした。


沈む携帯電話に、
笑う。


これで、
誰とも連絡はつかない。


それでいい。