夜中の3時。


温かい布団からそっと抜け出す。


ヒンヤリ冷たい室内の空気に、
裸の全身に鳥肌がたつのを感じた。


脱ぎ散らかした服を拾い集めて、
身につける。


薄明かりに浮かぶ幼い寝顔に、
笑みが零れた。


布団を肩まで引き上げて、かけ直すと、
私は静かに部屋を出た。



店に降りると、
カウンターの隅に置きっぱなしの鍵を手に取る。


電話のところに置いてあるメモに走り書きをした私は、
そっと開けた扉を抜けて、その扉に鍵をかけた。


メモと一緒に、鍵をポストに入れると、
空を見上げる。


月が空の真ん中に浮かんでいた。


真っ黒な空に開いた、
白い穴。


私は一度、店の扉を振り返って、
駅に向けて歩き出した。