その指に

舌に、

翻弄される。


とめどなく溢れる涙を舌で掬い上げられて、

私は体を震わせた。


「名前で呼べよ、奈津。」


掠れた声で言われて、
目を開けた。

いつの間に眼鏡を取った彼が、

余裕の無い顔で

私を見下ろしていた。


「淳弥…」


口にしたら

愛しさが

体中を駆け抜けた。