沈黙が続いた。





「…だから、あたしのとこに来た?」


先に口を開いたのは詩織ちゃんだった。

「え?」

「楓ちゃん達にウザイって言われて、居場所なくなって、どうしようもなくてあたしのとこに来た?」



「う…ん…。それに、今日の事ほんとに悪いて思ったけん…」

「勝手だね、奈緒ちゃん。一人になるのが嫌やけん、謝って許してもらえば一人にならずに済むとでも思った!?」


詩織ちゃん……。


「勝手すぎるよ奈緒ちゃん…。あたし、この1ヶ月練習中ずっと一人やったばい…。何回辞めようと思ったか…。その時、奈緒ちゃんはあたしの事避けて、話してもくれんかった。なのに、自分が一人になるのは嫌だからって都合良くあたしのとこに来て…。」


詩織ちゃんの目から涙が流れた。


「あたしは、今日奈緒ちゃんから言われた事をなかったことになんてできない…。簡単には許せないよ…。」
「詩織ちゃん…」


「帰って…帰ってよ。二度とあたしに話しかけんで!」


あたしは詩織ちゃんの家を飛び出した。


「あら?もう帰ると~?」


詩織ちゃんのお母さんの声もほとんど耳に入らなかった。