また別の場所では 若い男がビルの屋上で働いていた その生命もまた 自我欲に燃える国家の付属品に過ぎない 重たく雲が垂れている空の下 ――――――おーい 男は空からそんな声を聞いた 声が空一面にこだまする 空の上から包み込むように聞こえてくる声 当たり前のように 空を見上げる もっと低い地上にいる人々も 同じように空を見上げた だがそこにあるのは もちろんただの 曇り空