夏雨シロップ。




「...わ、私...ずっとずっと田辺くんだけを見てて...ッ

あの日からもう、
に、2年も...ッ経つのに

今も気持ちは何一つ変わってなくて...」


「...」


夏の雨が苦手なのは、

あの日、味わった苦さがまだ私を苦しめてるから。


それと、もう一つ。

...雨は、何だが田辺くんに似てたから。


緩く降り注ぐ
温かな、夏の澄んだ雨。



...嫌いなはずなのに、

本当は気付いてたの。



私の上には随分と
優しく、柔らかく降っていたこと。


だからこそ、

雨も田辺くんも憎らしかっただけ。