嘆くような顔で教室へ入り、玲緒を目掛けて駆けてくる。


「萩原あああ!」


「何だよ!気持ちわりいなあ!」


「俺はGHRなのに、美羽ちゃんはAHR…。しかも、桐下と一緒なんだよお!!」


言い終えた後男はわめきながら机に伏せた。


玲緒はぎくっとして冷や汗をかく。


男の話に反応したのは桜だった。


「美羽って…。飯田とクラス一緒なの!?」


きよはあらま、と一言つぶやく。





飯田美羽(いいだみう)。


去年、桜たちが二年生の夏に転校してきた。


父親は元教師で、高校バスケの名監督と評判だった。


現職の転勤先が調度この近くだったため、是非この高校の監督にと招かれた。


そしてバスケ経験者である娘がマネージャーになったのだった。


意地の悪そうな綺麗な顔と、ぼんきゅっぼんのグラマラスな体でバスケ部員の注目の的。


部活中何かとキャプテンと一緒にいることが多いため、部員によって勝手な噂をたてられていた。