「あんたらまたやってたでしょ?」


クラス分けされて間もない教室。


新しいHR、3Fのベランダから校庭をのぞいている桜と友人二人。


そのうちの一人、蒼井清(あおいきよ)
が呆れ顔で言った。


もう一人の、森口ひよりはおどおどとフォローする。


「いっ、いいじゃない。この年になってなかなかああゆうことできな…あ。」


「フォローになってないわよ、ひより」


二人の会話は桜の耳に入っていないようだった。


「…なんかねぇ、みんなの距離がどんどん広がってく感じがする」


ベランダの柵にうなだれる。


「そうね。それが形になって現れてるじゃないっ?ほら、クラスばらっばら」


「ちょっと、清ちゃん…!」


その通りで、いつもなら言い返せる桜も、何も言えない。


「でも、別にいいじゃない?桐下君とは上手くいってるんだし」


「…うん…」


下を見ながら小さく頷く。


「昔っからお互い思い合ってるんでしょ?将来だって当たり前に語ってるみたいだし。そんなのなかなかないよ?」


しょげる桜を見ながらどんどん話す清。


きつい言い方だけれど、これが清なりの慰め方だ。