一生懸命な姿に4人は声をかけれず、黙って少しの間見ていた。


桜も潤んだ目で見つめる。


バスケ部キャプテンがゴールから離れた位置からボールを放つと、しなやかなフォームで3ポイントが決まる。


ボールを拾いくるっと振り返り、やっと4人の客に気づいた。




彼が、桐下 秀斗(きりしたしゅうと)。


見た目からして一番落ち着いた印象の黒髪の好青年。


スポーツもできるがしっかりしている為、バスケ部主将と生徒会役員を兼任している。


桜とは親の関係で生まれたときからずっと一緒。



「…いつからいたんだ?」


「や、今ちょっと覗いただけ。」


そう言いながら玲緒は桜の背中をポンと軽く押した。


「わっ…」


軽いつもりでもバカ力のせいで前にぐらつく。


後ろを向くと、玲緒が目線で入り口横にあるタオルを指している。


それに気づき、桜がぎこちない動作でタオルを持って、秀斗に近づく。


「…はい、お疲れ様」


「ありがと。…どした?何かいつもと違うぞ?」


爽やかに笑いながら、いつもと違う態度を気遣う。


桜は作り笑いになりながらも笑顔を見せた。


「…。朝早いんだ?」