「こんな事じゃ卒業できんぞ!」

矢倉は溜め息混じりに職員室の教員卓に座る、その声は怒りよりも哀れみに近い。

「マジっすか?」

この状況でも木崎は笑みを浮かべたままでまるで他人事のように喋る。

「マジだ、マジ!」

そのやり取りに他の教師陣はクスクスと笑っている。

「じゃあ、どうしたら卒業出来るんすか?」

おおよその解決法は木崎も理解しているが周りの空気に気をよくしたのか、更におちゃらける
「よく聞いた、お前放課後にここに来い」

矢倉はまるで罠にかかった獲物を見つめるかのように木崎に言う。

実際、心の中でその地雷を踏んだ事に対して脱力した。

「うぃ~っす」

断ればいいものの木崎は朝のホームルームから言いようの無い煩わしさを感じるはめになり、やる気なく答える。