「木崎、停学から戻るなりそれか?」

矢倉も怒りをあらわにする頃には教室には冷たい緊張した雰囲気が張りつめる。

「それってどれだよ?」

木崎と呼ばれた少年はうすら笑いを浮かべ立ち上がる。

細身ながら身長は体育教師の矢倉と同じくらいで歳にしては長身だ。

数秒の沈黙の後、矢倉が咳を切ったように力強く木崎の髪を引っ張りドアに向かう。

「いたいッス!」

その状況でも木崎はまだ口元をゆるめていた、不良…というよりは単なるお調子者のようだ。
矢倉はドアを叩きつけるかのように強く開けて木崎もろとも廊下へと姿を消していく。

それを見計らって再びクラスにいる生徒が小声で騒然とする。
「おい、あいつって何やったんだよ?」

「3週間の停学だからな、やばい事だろ」

口々にそんな旨の言葉が飛び交う、クラスは完成されていけど木崎だけはまだ部外者、外様のようだ。