「いや、わたし達の間違いといわれましても、お客様からこちらの住所に引っ越しされると手続きされてまして……」


もう一組の引っ越し屋はポケットから住所が書かれた紙を出した。



「んなバカな……!」


あたしはその紙をひったくった。



《……千嶋茅斗?》




「お、男っ!?」

「はい、男性の方ですが……」

しかもあたしの新居の住所と一字一句違いがない。


あたしは目を皿にしてもう一度、住所の書かれた髪を見たが、やっぱり違いが見つからなかった。


「じ、冗談じゃない!
何で!?どして!?」


あたしは邪魔になった前髪を、イライラしながらかきあげた。


せっかくセットした髪型が台無しだ。






その時だった。