好きなんて言わないよ

校門をくぐって昇降口に向かう。

クラス替えの紙が貼られていた
掲示板の前には既に、
たくさんの生徒が紙を覗いていた。

「あみー!今年も一緒!」
あみの友達の美沙子が
走って二人の元に来た。

「ほんとー?やった!
美沙子、高2もよろしくね」

「うん!また、
あみと一緒のクラスに
なれてよかった」

「おい、美沙子。
俺はどこのクラスだ?」

喜ぶ二人の隣で
達也が美沙子に尋ねた。

「なんで、うちがあんたの
クラスまで見なきゃ
いけないのよ」

美沙子が達也に言った。

「気が利かねぇなぁ」

達也はぶつぶついいながら
クラス替えの紙を覗きに行った。

「2年生になっても熱いわ」
美沙子が手で風を扇いだ。

「熱い?まだ夏は先よ?」

「あみ…うちは、
あんた達の事を言ってんのよ」

「私達のこと?」

「あみと達也君。
本当仲良いよね。
なんかただの幼なじみ
じゃないって言うか。
春休み何か無かったの?」

「何言ってんの美沙子。
私と達也はただの幼なじみ。
春休みだっていつもと同じよ。」

「でも好きなんでしょ?」

「誰があいつの事なんか」

「またまた。あみは、
素直じゃないんだから。
まぁ達也君もだけど」