哲治と梨華の降りる駅になり
哲治が達也に耳打ちした。

「あみ姉のこと好きなんだろ!
達兄ちゃん」

達也は顔を真っ赤にして
電車から降りる哲治に叫んだ。

「ばかやろー!誰がっ!」

閉じた扉の向こうで、
哲治が笑っていた。

電車の中では叫んだ達也に
乗客が注目していた。

「馬鹿っ!声の
ボリューム考えなさいよ!」
あみは達也の頭を叩いた。

「痛ってぇ!
何すんだよ、あみ!」

達也はまた大声を出して
乗客が達也の方を一斉に向いた。

「すみませーん」

達也は、頭を
かきながら小声で謝った。