「あ、お嬢様、おはようございます」 汗を拭きながら横浜支店に入っていくと、貝塚さんが出迎えてくれた。 外は猛暑。 冷房の効いた支店に入り、あたしはほっと息をついた。 さっと事務所内を見回す。 よかった。 あいつの姿は見えない。 朝からセクハラ男の顔なんて見たくないもん。 ほっとして、あたしは貝塚さんに向き直った。