と、ドアノブをつかんだところであることに気づいて立ち止まった。 背後から倉本さんの声が聞こえた。 「ん?どうした?」 あたしはくるりと振り返ってつぶやいた。 「お財布忘れた」 「……はあ?」 倉本さんはまじまじとあたしの顔を見てきた。 うーっ! そんなに見ないでよ。 恥ずかしいじゃん!