パパは倉本さんが今朝本店に来てたことを知らなかったんだろう。 まったく。 とんでもないすれ違いに踊らされちゃった。 倉本さんはさっそく茶封筒の中の資料を確認し始めた。 「じゃ、たしかに届けましたから」 「ああ、お疲れ」 しかつめらしい顔で資料を見始めた倉本さんは、もうあたしのことなんてちらっとも見なかった。 あたしはこんなところ、さっさと帰ろうと、ドアへ早足で向かった。