婚約者☆未満


パパは倉本さんが今朝本店に来てたことを知らなかったんだろう。


まったく。


とんでもないすれ違いに踊らされちゃった。


倉本さんはさっそく茶封筒の中の資料を確認し始めた。


「じゃ、たしかに届けましたから」


「ああ、お疲れ」


しかつめらしい顔で資料を見始めた倉本さんは、もうあたしのことなんてちらっとも見なかった。


あたしはこんなところ、さっさと帰ろうと、ドアへ早足で向かった。